出会いは、地方視察ツアーだった。
中井と松村さんが最初にまとまって話したのは、2025年秋ごろ、行政主導の地方視察ツアーで一緒になったときでした。
そこで話してみると、中井が会社員時代に在籍していた会社に、松村さんもいたことがわかりました。さらに、中井にとって最初で最後の上司と松村さんが知り合いだったこともあり、初対面の挨拶だけでは終わらず、普通以上にいろいろ話すきっかけになりました。
最初は地方視察ツアーで一緒になっただけだったんですが、話してみたら会社員時代の接点があったんですよね。僕の最初で最後の上司と松村さんが知り合いだったこともあって、そこで一気に距離が縮まりました。
ツアーが終わったあとも、「東京に来たときは飯でも行きましょう」という話になって、そこから交流が続きました。今は経営のことを相談するために、週1回、1時間の壁打ちをさせてもらっています。
その流れでアップスベンチャーズの構想も共有しました。すると松村さんが「面白そう」と言ってくれたことが、今回、事業化飯 180の最終ピッチに外部視点として入ってもらう流れにつながっています。
なぜ、外部視点が必要なのか。
事業化飯 180では、最初に中井が一次面談を行います。ただし、最終的な判断を中井の近い距離感だけで閉じないために、松村慎也さんに外部視点として参加してもらうことにしました。
今回、事業化飯 180の最終ピッチに松村さんに入ってもらうことにしました。僕だけで見ると、どうしても「この人は面白い」「この領域はいけそう」という期待値が先に立つことがあります。
近くで見ている人の熱量は大事です。ただ、事業として見ると、熱量とは別に確認しないといけないことがあります。誰が買うのか、なぜ今なのか、最初の販売ルートはあるのか。そのあたりを外から見る役割だと思っています。
「作れる」と「事業になる」の間にあるもの。
AIによって、プロダクトやLP、業務ツールを作るハードルは下がりました。一方で、作れることと、事業として続くことは別の話です。事業化飯 180で見るのは、作ったものが誰に届き、どう対価に変わり、どの現場で検証できるかです。
一次面談では、僕が本人の現在地を整理します。やりたいことを否定するというより、「それは誰にとって本当に必要なのか」「どこで最初に試せるのか」を一緒に置いていく感じです。
最終ピッチでは、そこで整理した構想が、事業として無理なく前に進められる状態かを見ます。資料がきれいかよりも、顧客、価格、運用、継続の筋がつながっているかが大事です。
最終ピッチは、落とすための審査ではない。
松村さんにぶつけるためのピッチ資料は、中井と一緒に作ります。最終ピッチは、参加者を落とすための場ではありません。180日動く前に、顧客像、価格、初期販売ルート、現場での検証方法、運用体制を確認する場です。
事業化飯 180は、起業を煽る場所にはしたくないんです。進むなら進む理由がいるし、今は保留のほうがいい人もいる。そこを雑にしないためにも、松村さんの視点を入れたいと思いました。
本人にとって無理のない出口かどうかは見たいですね。独立、共同事業化、出資、子会社化などは、必要になった場合にだけ個別に相談すればいい。最初から出口を固定しないほうが、健全に進められると思います。
見たいのは、熱量と現実の接点。
アイデアの大きさだけでは、事業にはなりません。一方で、最初から完成された計画である必要もありません。大事なのは、本人がその領域に本気で向き合えるか、顧客や現場の解像度があるか、最初の小さな売上を作る入口があるかです。
僕が見たいのは、立派な資料よりも、その人がなぜそれをやるのかです。桒田さんのLAYERも、最初は美容サロン向けSaaSの相談でしたが、本人の現場経験があったから、羽エクステ専門店という検証の形に進めました。
現場との接点がある人は強いです。自分の中に顧客理解がある。そこに、価格や導入ルート、運用の設計が乗ると、事業としての輪郭が見えてきます。
180日で、事業として話せる状態へ。
事業化飯 180で目指すのは、きれいな資料を作ることではありません。売れる形まで考えることで、機能、価格、導入シーン、運用、継続利用の解像度を上げ、プロダクトを事業になる形へ近づけることです。
参加者には、最終ピッチを怖がるより、事業を一段具体的にするための壁として使ってほしいです。松村さんに突っ込まれて初めて見える穴もあると思うので。
いい意味で、現実に戻す役割ですね。夢や構想を小さくするのではなく、実際に届く形にする。そのために、外から見て感じた違和感や伸びしろを率直に返していきたいです。
AI時代に、自分で選べる側にいるために。